病院ブログ

上天草地域におけるC型肝炎について

C型肝炎は日本で推定150~200万人が持続感染状態であり、西日本に多く、
C型肝炎ウイルスに感染し治療せずに放置しておくと約70%は慢性肝炎→肝硬変→肝癌と
進行します。肝癌による死亡患者の約60%はC型肝炎が原因です。
 現在、C型肝炎に対する治療は経口薬の抗ウイルス薬の出現により多くの患者さんが
体内からウイルスが排除されることが可能となりました。
WHO(世界保健機構)を中心としてC型肝炎根絶に対する取り組みは世界レベルで
進んでいます。今回、上天草地域のC型肝炎の現状調査の結果また当院でのC型肝炎に
対する取り組みそして今後の課題について報告します。
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 上天草総合病院でのC型肝炎陽性者は、全国平均の約0.6%に比べ7%ととても高いことが
判明しました。党員の医療圏を地域別に調べてみると、9~14%とかなり高い感染率を示す
地域がありました。C型肝炎陽性者おい地区を年齢で見てみると、陽性者の年齢は
50~90歳代で多く認められました。同じ上天草地域の中でもC型肝炎陽性者の割合には
差があり、高感染地区が存在することが全体的にC型肝炎陽性者が多い結果の
原因となっています。
 昨年、肝臓専門医(外科大堂)が着任し当院でもC型肝炎治療が可能となりました。
現在、私たちは治療適応であるC型肝炎陽性者を正確に把握するための取り組みを進めています。
①血液検査でC型肝炎陽性であった場合、検査室より主治医及び肝臓専門医への報告を
行っています。主治医より患者さんへ結果説明を行い、専門医と相談し治療方針を
検討します。
②以前当院にてC型肝炎検査を受けて結果が陽性であった方の調査を行い、
精密検査が必要と考えられた場合は専門医より電話連絡にて受診を進める取り組みを
行っています。
③本年7月より肝疾患コーディネーターを中心に専門医と連携し肝炎対策チームを発足、
肝炎検査結果の告知文書管理や患者把握、治療者の経過追跡などを行っています。
肝疾患コーディネーターは、肝炎検査の受検を勧め、肝炎ウイルス陽性者への受診の助言、
治療導入・継続のための支援を行う役割を担っており、医療従事者を対象に
養成が行われています。現在熊本県463名、天草地区45名、当院には10名認定者がおり、
看護師、保健師、臨床検査技師、診療情報管理士、社会福祉士など多くの職種で
構成されています。今後、患者拾い上げから治療、そして李朝後の経過観察に対する
接触的なコーディネーターの介入が肝炎患者ひいては肝臓の減少への貢献が期待されて
います。
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 今後の課題は、主治医が肝炎検査結果を把握するためのシステム(アラートシステム)の
構築、院内全職員のC型肝炎に対する意識向上、さらなる肝疾患コーディネーター育成、
患者さんへの肝炎に関する知識の啓蒙です。
 昨年からC型肝炎患者に対する治療を始め27名が治療対象となり、74%に治療が終了し、
100%の患者さんがウイルスが体内から排除された状態となり治療が有効でした。
 上天草地域のC型肝炎患者数は以前より減少傾向ですが、いまだ全国と比べ未治療者が
多く存在しています。これからも、医師、コーディネーターを中心に上天草地域での
C型肝炎撲滅に取り組んでいきます。

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上天草市立上天草総合病院