病院ブログ

全国国保地域医療学会に参加して

 令和元年10月4日~5日にかけて第59回全国国保地域医療学会が長崎ブリックホールにて
開催されました。開会式に続いた表彰式では「地域包括医療・ケアの推進」の
功績が認められ、森こずえ看護部長が表彰されました。今学会は医師・看護師・リハビリ
だけでなく、放射線技師・臨床検査技師・介護福祉士・事務・調理師・薬剤師・
臨床工学士・ソーシャルワーカー・歯科衛生士など多職種による発表が特徴で、
どれも興味深いものばかりでした。特に地域医療に関連した内容の発表では、
医師不足をはじめ地域住民と患者の高齢化・退院の受け入れ先が不足している等、
残酷的に同様の問題点を抱えていました。そのような中でも地域包括ケアシステムの
実践や病院が生き残るために、各部門や病院での新たな取り組みにより活路を見出そうと
努力工夫している点が印象的でした。党員からは脇田富雄院長が口演発表、理学療法士
千原好博がポスター発表を行いました。いかにポスター発表の内容を簡潔に報告します。
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 体組成計からみた「がんリハ」と「心リハ」患者の特徴~骨格筋量とSPPBに着目して~
ヒトは加齢により骨格筋量が低下しますが、がんや心不全などの病気により更に
加速します。【評価】ポロスポーツ選手でも使用されているSECA mBCAという機器を
用い骨格筋量の評価を行いました。また、骨格筋量の低下や身体機能の低下で起こる
サルコペニアを検査するためにSPPB(Short Physical Performance Battery:
以下SPPB簡易身体能力バッテリー)を使用しました。
SPPBはバランス・4m歩行、椅子立ち上がりテストの3項目をそれぞれ0~4点で
点数をつけ12点満点で評価します。SPPBでサルコペニアのカットオフ値は8点と
されています。【結果】体組成計での骨格筋評価では「がんリハ」患者では
4/5名で少ない、「心リハ」患者では5/5名で少ないという結果となりました。
SPPBは「がんリハ」患者では2/5名、「心リハ」患者では4/5名がカットオフ値を
下回る結果となりました。特に「心リハ」患者でのSPPBはバランスと
椅子立ち上がりテストの点数が低く、ADL低下している患者が多い傾向でした。
サルコペニアを有すると要介護状態になりやすい”フレイル・サルコペニアサイクル”
という身体機能低下の悪循環に陥りやすくなります。(図1)
このような悪循環を断ち身体機能を維持するためには、不要な安静臥床を減らし適切な
栄養摂取、筋量維持向上のためのレジスタンストレーニングが重要となります。
フレイル・サルコペニアサイクル
 学会終了後に長崎を散策しました。出島は鎖国下の江戸時代において日本で唯一交易が
認められた場所です。近代医学の父シーボルトによって西洋医学が始まった出島では、
歴史の流れと医療の日進月歩を感じました。ほかにも長崎は香港・マカオに並び
世界三大夜景の一つに認定されています。教会や歴史的建造物も多く、長崎は異国情緒
あふれる素敵な街でした。大人の秋冬旅行に長崎はいかがでしょうか。

                              (Y.T)

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