今年の夏は、8月中旬からはほとんど晴天には恵まれず、子供たちの待ちわびた
龍ヶ岳、姫戸の夏祭りは残念ながら花火大会のみとなってしまいました。
当院のダニ博士である和田診療部長によれば、この季節、降雨のあとの
すっきり晴天時にマダニ咬傷が頻発するそうですのでご注意ください。
さて、マダニの運び屋であるイノシシが増え島内を闊歩する一方で、
熊本県、中でも天草の人口減少は顕著です。特に生産年齢人口の減少は
著しいものがあり、そのため当院で必要な職員を募集しても応募がないと
いう事態が発生しつつあります。
そこでこの度、介護員不足が顕在化しつつある介護老人保健施設「きららの里」に
おける外国人技能実習生受け入れ準備のために、外国人技能実習機構認定の
受け入れ管理団体である日和協同組合のエリアマネージャーさんと、県内6つの
介護施設長計8名で、8月29日から9月1日まで、ベトナム国内に8つある
送り出し機関(教育機関)のうちハノイにあるJHLグループと
CEOサービス開発の2訓練施設を視察してきました。日本語教育と日本式の
介護の実習を行う寮付きのいわゆる専門学校であり、既婚・未婚は問わず、
年齢は10代から30代で、実質、施設で取得できる資格は日本語検定N4
(日常会話初級)のみです。日本で介護員として3年間働く間に1年度に
N3(日常会話上級)、2年度に介護技能検定3級取得が義務づけられています。
さらに3年後終了時に任意の介護技能検定2級を取得すれば、その後も日本国内
に定住することも可能であるというシステムです。ただしこれらの検定に
都度合格することが国内残留に必須であるかどうかは未確定だそうです。
同行したある介護施設長の面接に立ち会いましたが、3名はみな既婚者で、
ステレオタイプに「日本が大好きです」、「老人が好きです」とアピールしつつ、
目的はと聞くと「3年間で300万円貯金して家族で住める家を建てたいです」が
本音で、愛する家族のため、学費を供出してくれた所属する集落のため
3年間は実を捧げる覚悟のようです。正直、県内の外国人労働者失踪率
13%との先日の新聞報道に身構えていたのですが、杞憂におわりそうです。
各介護施設長の皆さんは、各々1~2名の実習生を迎え入れる契約を済まされ
帰国の途につかれました。契約完了した実習候補生は、このあとベトナムで
N4取得を目指して日本語学習にさらに励み、ベトナムでの諸手続を終えて
来日、その後日本国内の教育機関で介護導入、法的保護、生活一般の講習を
受講して、実際に現場で働きだすのは1年後となります。
アマテラス大御神の御代から単一民族国家と信じて疑わず、移民はできるだけ
避けたいが将来楽650万人の外国人労働者を迎え入れる必要がある日本と、
日本の良質の介護・縫製技術・農業技術などのノウハウを短期間で習得したい
新興国ベトナム、両者Win-Winの関係がこの事業の本質のようです。
というわけで、当院としても早速来年度中にもベトナムからの技能実習生を
受け入れられるよう準備をしたいと考えています。